モンスターフルーツの熟れる時

表紙

 『モンスターフルーツの熟れる時』(小林恭二著/新潮社)を再読。『ゼウスガーデン衰亡史』に並ぶ傑作だと思います。子供のころの“誓い”を思い出すことで、本来の自分を取り戻す主人公を中心に描かれる再生の物語。ストーリーは表題通り、フルーツが熟れきった時のあの淫靡な芳香を放っていますが、淡々とした語り口がそれを実に甘美で上品なものにしています。