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強風
晴れたものの強風。家で本読み。『秋の花』(北村薫著/創元推理文庫)を読んでいたら、作中に『フロベールの鸚鵡』の話が出ていた。同書はジュリアン・バーンズの著作で欧州の文学賞を総なめにした作品。真実と虚構を交錯させる見事なテクニックはジュリアン・バーンズの真骨頂。私は『10 1/2章で書かれた世界の歴史』も大好きだ。ただ、ジュリアン・バーンズはこういった技法に走った話だけでなく、『太陽を見つめて』といったような女性の一生を描いたような話もあったりとしてなかなか奥が深い&人を食った感じある。ひさびさに読みたくなって仕事をしながら本をめくってしまった。
ハリウッド脚本術
『ハリウッド脚本術』(ニール・D・ヒックス著/フィルムアート社)という本がある。たぶん、乙一とか、いろいろな作家がこの本を読んで小説を書いている(はず)。脚本を書く上で必要となる技術的な話がみっしりと書かれていて便利なのだが、後半の脚本家の精神論やビジネスのやりかたなどの話も興味深い。
それから白紙のページに向かうたびに、失敗の可能性はとてつもなく高くなり、おそらくは失敗は必然とすらなる。ここでは、人気の面あるいは売れ行きの面での不成功を語っているのではなく、本当に個人的な欠陥、夜中に冷や汗をかいて飛び起きるのを余儀なくさせられるような、むきだしの真実の類のことである。我々は、自分はイカサマであり、皆がそれを知っているという失敗のことを語っている。それが、モノ書きを最も恐ろしい職業にしているものだ。
これが、多くのライター志望者が決して紙に何かを書き残そうとはしない理由である。それはまた、自分で旅客機を飛ばしたり、自分で痔の手術をしたり、自分自身の芝生の草刈りをすることすら想像しないような実に多くの人が、自分はプロのライターよりも上手に書くことができると絶対的に確信している理由でもある――そのプロのライターは、ゼロから何かの作品を創造しているにもかかわらず、である。